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札幌地方裁判所 平成7年(行ウ)7号 判決

北海道滝川市北滝の川一六番地一

原告

小山幸一

北海道滝川市大町一丁目八番一四号

被告

滝川税務署長

右指定代理人

土田昭彦

工藤義和

池田敏雄

坂下晃庸

柏樹正一

房田達也

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告が平成六年二月二八日付けで原告に対してした

一  平成二年分の所得税の更正のうち総所得金額一三四万五二九三円(ただし、異議決定による変更後のもの)及び納付すべき税額一万九三〇〇円を超える部分(ただし、異議決定による一部取消後のもの)並びに過少申告加算税賦課決定

二  平成三年分の所得税の更正のうち総所得金額四六四万三五一七円(ただし、異議決定による変更後のもの)及び納付すべき税額二五万二四二〇円を超える部分(ただし、異議決定による一部取消後のもの)並びに過少申告加算税賦課決定(ただし、異議決定による一部取消後のもの)

をいずれも取り消す。

第二事案の概要

一  本件は、原告が被告のした平成二年分及び平成三年分の各所得税更正処分(ただし、異議決定による変更後のもの)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(ただし、異議決定による一部取消後のもの)に調査手続上の違法及び総所得金額を過大に認定した違法があるとして、右各更正のうち確定申告額を超える部分及び右各賦課決定の取消しを求めている事案である。

二  争いのない事実

1  原告

原告は、北海道滝川市北滝の川一六番地一において建設業を営む、いわゆる白色申告者である。

2  本件各処分等

原告の平成二年及び平成三年分(以下「本件各係争年分」という。)の各所得税について、原告の各確定申告、これらに対する被告の各更正(本件各更正)及び過少申告加算税の各賦課決定(本件各賦課決定)(これらを総称して本件各処分)、原告の異議申立てについての各決定並びに国税不服審判所長がした各審査裁決の年月日及び金額等は、別表1に記載のとおりである。

3  原告の収入

原告の平成二年分の収入は一〇九一万一九四二円、同三年分の収入は二一九六万八一四四円である。

三  争点

1  税務調査手続の適否

2  推計課税の必要性

3  推計課税の合理性

4  実額反証の成否

四  争点に関する当事者双方の主張

1  争点1について

(原告)

本件各処分等に至る税務調査の手続は、次の(一)ないし(三)の理由により違法である。

(一) 本件各処分までの被告の係官は、事前通知をせずに調査を行った。

(二) 被告の係官は、本件調査に当たり、第三者の立会いを認めず、また第三者が立ち会っていることを理由として、原告が提出した資料を精査しなかった。

(三) 本件各更正の通知書には処分の理由の附記がなく、しかも、被告の係官は、異議調査の際、右処分の理由を開示しなかった。

(被告)

原告の主張(一)及び(二)については、所得税法二三四条一項所定の質問検査権行使の実施の細目に関するところ、これについては法律に特に定めがなく、社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられると解されるべきであり、本件の場合、事前通知をせず調査を実施し、第三者の立会いを拒否したとしても、右税務職員の選択に委ねられた範囲内で、違法はない。

ところで、被告の係官は、原告が第三者の退席要請に応じた平成五年五月一一日には帳簿書類の検査を実施しており、また、それ以外の調査日には、原告が再三にわたる第三者の退席要請に応ぜず、第三者の立会いが認められなければ調査に応じないなどとして、調査を拒否したため、帳簿書類の検査をすることができなかったものであり、この点に関する原告の主張は事実に反するものである。

原告の主張(三)については、原告の提出した申告書は青色申告書以外の申告書であるから、理由附記の必要がないものであるし、また異議審理手続の違法不当を理由として原処分の取消しを求めることはできないから原告の異議調査に係る主張はそれ自体理由がないものであって、原告の右主張はいずれも理由がない。

2  争点2について

(原告)

争点1について原告が主張したように、本件税務調査手続は違法であり、これが適法になされていれば、原告は右調査に協力し、積極的に帳簿書類等の資料を提示していたのであるから、本件において推計課税の必要性はなく、本件各処分等は違法である。

(被告)

被告の係官は、原告の平成二年分ないし平成四年分の所得税の確定申告に係る調査のために、平成五年四月二一日以降多数回にわたり原告宅に赴き、原告に対して、右各年度分の事業所得金額の計算の基になった帳簿書類を提示するよう求めたにもかかわらず、原告は具体的な調査理由の開示や第三者の立会いを認めるように求め、第三者の立会いが認められなければ調査に応じないとして、本件各係争年分の帳簿書類を提示しなかった。

そのため、被告は、原告の本件各係争年分の所得金額を実額で算出することができなかったのであるから、本件各処分時において推計課税をする必要があったことは明らかである。

3  争点3について

(被告)

本件推計は合理的であり、その理由は次に述べるとおりである。

(一) 推計方法の合理性

(1) 被告が、本訴において主張する原告の本件各係争年分の事業所得の金額は、取引実績額により把握した原告の売上(収入)金額(別表3参照)を基礎数値とし、原告と同一業種で規模等において類似性の認められる同業者の所得率の平均値を適用して算出したものである。

(2) 右推計に用いた類似同業者は、原告の納税地を管轄する滝川税務署及びその近隣署である札幌中、札幌西、札幌北、札幌東、札幌南、岩見沢、深川、旭川中、旭川東、富良野、留萌の各税務署(以下「抽出対象署」という。)が所轄する納税者のうち、原告と同様、建設業を営む個人事業者であって、かつ、次の項目(以下「本件抽出基準」という。)のすべてに該当する者(本件類似同業者。別表4のAないしD)を抽出したものである。

ア 建設業のうち、鉄骨工事業を営んでいる者

イ 所得税の青色申告書を提出している者

ウ 各年分の売上(収入)金額が原告の売上(収入)金額の〇・五倍から二倍の範囲内にある者

エ 原材料費(仕入金額)がない者

オ 鉄骨工事業と異なる業種目を兼業していない者

カ 年間を通じて継続して事業を営んでいる者

キ 災害等により経営状態が異常であると認められる者以外の者

ク 国税通則法の規定に基づく不服申立てがなされ、現在審理中ないしは訴訟が係属中でない者

(3) 右抽出基準及びそれに沿う抽出は、原告の営む鉄骨工事業と業種、業態、事業内容、規模等主要な点において類似している同業者を機械的に抽出したものであり、その抽出に当たって被告の恣意が介在する余地はなく、公平妥当なものであり、右類似同業者の所得率の平均値を適用して原告の事業所得の金額を推計することは合理的である。

(二) 推計による本件各係争年分の総所得金額等

(1) 売上(収入)金額(別表2〈1〉)

被告が原告の取引先を調査した結果、原告の売上(収入)金額は別表3のとおり、平成二年分が一〇九一万一九四二円、平成三年分が二一九六万八一四四円である。

(2) 本件類似同業者の所得率の平均値(別表2〈2〉)

本件類似同業者の本件各係争年分の総収入金額、所得金額及び所得率(総収入金額に対する所得金額の割合)は、別表4のとおりであり、右所得率の平均値は、平成二年分が三七・一九パーセント、平成三年分が三九・九九パーセントである。

(3) 事業所得の金額(別表2〈3〉)

原告の各年分の売上(収入)金額(前記(1))に、各年分の本件類似同業者の所得率の平均値(前記(2))を乗じる方法により、本件各係争年分の事業所得の金額を推計すると、平成二年分が四〇五万八一五一円、平成三年分が八七八万五〇六〇円となる。

(4) 総所得金額(別表2〈5〉)

原告の本件各係争年分の総所得金額は、平成二年分が前記(3)の事業所得の金額四〇五万八一五一円、平成三年分が前記(3)の事業所得の金額八七八万五〇六〇円に別表2〈4〉の給与所得の金額五五万三一二六円(公建工業株式会社からの給与収入一二〇万三一二六円に対するもの)を加えた金額九三三万八一八六円となる。

なお、原告は、平成二年分の所得控除において、平成三年一一月二五日に婚姻の届出をした小山千鶴子(千鶴子)を配偶者控除及び配偶者特別控除の対象者とし、これらの控除を適用しているが、所得税法上、配偶者に該当するかどうかの判定は、基準日(各年一二月三一日)の現況による(同法八五条三項)ところ、本件においては、平成二年の右基準日に婚姻の届出はなされていないのであるから、原告の平成二年分の所得控除において、配偶者控除及び配偶者特別控除を認めることはできない。

(三) 本件各更正の適法性

本件各更正における原告の総所得金額(ただし、異議決定による変更後のもの)は、いずれも右(二)(4)の各総所得金額の範囲内であるから、本件各更正が適法であることは明らかである。

(四) 本件各賦課決定の適法性

国税通則法六五条一項の規定に基づき、本件各更正により増加した納付すべき税額(ただし、異議決定による一部取消後のもので、同法一一八条三項により一万円未満の金額を切り捨てた金額)平成二年分三九万円、平成三円分五九万円に、それぞれ一〇〇分の一〇を乗じて算出すると平成二年分が三万九〇〇〇円、平成三年分が五万九〇〇〇円となり、平成三年分についてはその増加した税額が、同年分の期限内申告額及び五〇万円のいずれをも超えるものであるから、国税通則法六五条二項の規定による、いわゆる加重分の過少申告加算税の額を算出する必要があり、右額は、平成三年分の更正処分により増加した納付すべき税額(ただし、異議決定による一部取消後のもので、同法一一八条三項によって切り捨てる前の金額)五九万六六〇〇円から、同法六五条二項の規定に基づき五〇万円を差し引いた金額(同法一一八条三項により一万円未満の金額を切り捨てた金額)九万円に一〇〇分の五を乗じて算出した四五〇〇円となるから、結局、本件各係争年分の過少申告加算税の額は、平成二年分が三万九〇〇〇円、平成三年分が六万三五〇〇円となる。

したがって、本件各賦課決定(ただし、平成三年分については異議決定による一部取消後のもの)が適法であることは明らかである。

(原告)

被告の主張する推計課税は、次の(一)ないし(四)の理由により、合理性がなく、違法である。

(一) 被告が推計に用いた同業者の実名が明らかではなく、その営業形態等が不明であり、また、これらの業者が原告と同程度の所得があるとは到底いえない。なぜなら、原告と同じ鉄骨工事業であるからといっても、事業の形態としては請負もあれば常雇傭もあり、また使用人の数も異なり、これらの点が所得金額に大きく影響するからである。

(二) 右同業者として、原告とは異なる青色申告者を抽出している。

(三) 原告の事業の個別的、具体的事情が考慮されていない。

すなわち、被告主張の(一)(2)のオ、カについては、原告にあてはまらない。原告は鉄骨工事と土木工事を兼業しているし、年間を通じて鉄骨工事があるわけでなく、冬期間は仕事がなくなるからである。

(四) 原告が前記千鶴子と婚姻したのは平成三年一一月二五日であるが、原告と千鶴子とは平成二年当時から内縁関係にあったのであるから、平成二年分の所得金額を算出するにあたっては、千鶴子について配偶者控除及び配偶者特別控除が認められるべきであるにもかかわらず、これが認められていない。

4  争点4について

(原告)

原告の平成二年分の総収入金額は一〇九一万一九四二円、必要経費は九九〇万九六五〇円、所得金額は一〇〇万二二九二円であり、平成三年分の総収入金額は二一九六万八一四四円、必要経費は一七八六万三〇四三円、所得金額は四一〇万五一〇一円である。

(被告)

原告が実額による課税をすべき旨主張する場合においては、原告において、その主張する実額が真実の所得金額に合致することを合理的疑いを入れない程度に立証すべきであり、そのためには、その主張する収入及び経費の各金額が存在すること、その収入金額がすべての取引先からの収入金額(総収入金額)であること、その経費がその収入と対応するもの(必要経費)であることをそれぞれ立証しなければならない。

しかし、原告が右実額反証のために提出した書証は、支出に関する原始記録等のみであり、会計帳簿等については一切提出されておらず、右立証を経て原告の真実の所得金額を把握するには到底不十分といわざるを得ないから、その立証はない。

また、前記千鶴子について、配偶者控除及び配偶者特別控除が適用されないことは、前記四3(二)(4)記載のとおりである。

第三判断

一  争点1(税務調査手続の適否)について

1  本件各処分に至る経緯等(次の(一)、(二)、(二)ないし(十六)の事実は当事者間に争いがなく、その余の事実は証拠(乙三三、証人遠藤雅明、原告)及び弁論の全趣旨により認定した。)

(一) 被告は、所部の鎌田係官に対し、原告の平成二年分ないし平成四年分の所得税の確定申告に係る調査を命じた。同係官は、平成五年四月二一日、原告宅に赴き、原告に対して、所得税の調査のために来訪した旨を告げ、原告の事業概況を聴取するとともに、所得金額の計算の基となった帳簿書類を提示するよう求めた。原告は、平成四年分に関する領収書等の書類を提示した。鎌田係官は、同五月一一日に再度来訪する旨を告げた上で退去した。

(二) 平成五年五月一一日、鎌田係官が、原告宅に赴いたところ、原告及び千鶴子のほか民主商工会(民商)の事務局長ら二名が待機していた。同係官は、原告及び千鶴子から事業概況、記帳状況を聴取するとともに、守秘義務に抵触するおそれがあることから、民商事務局長ら第三者を退席させた上で、所得金額の計算の基となった帳簿書類を提示するよう求めた。これに対し、原告らは、右第三者の同席を求めたが、原告は、同係官の第三者の退席を求める再三の説得に応じ、右第三者を退席させた上で平成四年分の所得金額の計算の基となった帳簿及び収支内訳書等を提示した。同係官は、これらの帳簿等を検討したが、帳簿といっても経費を記載したノートがあるのみで、現金出納帳や総勘定元帳などのように日々継続的に記録した帳簿類はなく、原始記録についても保存されていないものがあることが判明した。

(三) 平成五年六月三〇日、同係官は、原告宅に赴き、千鶴子と面会したが、原告が不在であり、調査ができなかったため、原告が帰り次第署に連絡するように依頼して帰ったが、その後原告からの連絡はなかった。

(四) 平成五年七月二六日、人事異動により鎌田係官から調査事務を引き継いだ遠藤雅明係官(遠藤係官)は、原告宅に赴き、千鶴子と面会した。同係官は、千鶴子に対し、身分を明らかにした上で前任者から調査を引き継いだ旨告げるとともに所得税の調査の目的で臨場したので調査を実施したい旨告げた。これに対し、千鶴子は、「今から用事があり、外出する。平成二年分の関係書類はない。平成三年分の書類を整理していないので、一〇日位待ってほしい。」と言った。そこで、同係官は、千鶴子に対し、原告と日程等について検討し、その上で原告の都合の良い日を同年七月二八日までに署に連絡するように依頼して帰った。その際、第三者が調査に立ち会うことは守秘義務に抵触するおそれがあるので、認められないことも告げた。

(五) 遠藤係官は、平成五年七月二八日までに原告から何らの連絡もなかったため、翌二九日原告宅に赴いたが、原告は不在であった。そこで、同係官は、同年七月三〇日までに署に連絡するように依頼した文書を差し置いて帰ったところ、その後の同年七月三〇日、千鶴子から電話を受け、同年八月九日に調査を実施することについて了解を得た。

(六) 平成五年八月九日、遠藤係官は、原告宅に赴いたところ、原告宅では原告及び千鶴子のほか、民商事務局長ら五名が待機していた。そして、原告らは、同係官の調査申入れに対し、「確定申告しているのに、なぜ調査に来るのか。調査に来る理由は何か。」と言った。同係官は、調査理由は所得金額の確認であり、税務調査は質問検査権に基づいて行うもので、申告された所得金額が正しいかどうかを確認するために行うものである旨説明した。同係官は、原告に対し、守秘義務に抵触するおそれがあるという理由で第三者の退席を要請したが、原告は、「この人たちは調査の邪魔をするわけではないし、第三者とも思っていない。守秘義務については税務職員が守ればいいんだ。」と言った。これに対し、同係官は、税務職員というのは、守秘義務が課せられており、職務上知り得た秘密というのは、他に漏らしてはならず、守秘義務のない第三者がいると税務職員に課せられた守秘義務を守れないおそれがある旨説明し、再度第三者の退席を要請した。原告は、立会人がいてもいいから調査を行ってほしい旨述べて、同係官の要請には応じなかった。この時、同係官の前のテーブルの上にはノートらしき書類が数冊置かれていたが、同係官は第三者の退席がなされないなどの右状況において右書類の中身の確認等も含め、調査を行うことはできないと判断して、同日の調査を打ち切った。

(七) 平成五年八月二三日、遠藤係官は、原告宅に赴いたが、原告が「今日はお客さんが来ているのでだめだ。来週は東京へ行くのでだめなので九月一日か二日にしてほしい。」と述べたので、同日の調査を断念した。その際、次回調査日を同年九月二日とし、時間については同年八月三一日に原告が同係官に電話連絡して決定する旨合意した。

その後、千鶴子は、同係官に対し、原告の多忙を理由として調査日程の変更を求める電話を四回(同年八月三〇日、同年九月二日、同月九日、同月一三日)繰り返したが、同年九月一四日に調査に応じる旨の回答をした。

(八) 平成五年九月一四日、遠藤係官は、原告宅に赴いたが、原告宅では原告及び千鶴子のほか、民商事務局長ら二名が待機していた。同係官の前のテーブルの上には、八月九日の場合と同じようにノートらしき書類が数冊置かれていた。同係官が、原告及び千鶴子に確定申告の基となった帳簿書類について質問をしたところ、原告らは、帳簿書類は千鶴子が担当しており、売上については、売上帳はないが銀行振込で分かり、請求書控えを保存していること、経費については、金額や日付を書いていないが、領収書等を貼っているものがあることを述べた。そこで、同係官は、これらの書類を検査することにし、守秘義務に抵触するおそれがあるとして第三者の退席を求めたところ、原告は、「立会人がいなければ、税知識が乏しく不利益をこうむる。」などと述べて、第三者の立会いを求めた。同係官は、原告に対し、分からない点があれば、調査の過程で指導するので、不利益になることはない旨説明するとともに、守秘義務に抵触するおそれがあるので、再度第三者の退席を要請した。そして、同係官は、第三者の立会いが認められなければ調査に応じないとの原告の意思が強固であり、これ以上調査を続行することは困難であると判断し、同日の調査を打ち切った。

(九) その後、遠藤係官は、原告の調査協力が得られず、かつ、所得金額を実額で算定することはできないと判断して、反面調査によって把握した取引実績額などを基に所得金額を推計により算定した。

(十) 平成六年二月二二日、遠藤係官は、原告宅に赴いたが、原告が不在であったため、千鶴子に対し、調査によって算定した所得金額を説明するとともに、修正申告をする意思があるかどうかを同月二五日までに連絡するように原告への伝言を依頼した。

(十一) 平成六年二月二三日、遠藤係官は、原告に電話し、修正申告する意思があるかどうかの確認をしたが、原告は、興奮して乱暴な口調で「調査額には納得できない。帳簿書類を立会人なしに見せる。」旨述べた。これに対し、遠藤係官は、前任者から引き継いだ調査資料、同係官自身によるそれまでの調査経緯及び右電話における原告の粗暴な発言態度を考慮し、更には前任者の時代からの原告に対する調査状況及び内容等を知る上司に相談して、調査の協力は得られないと判断して、更正処分する旨伝えた

(十二) 被告は、平成六年二月二八日付けで、原告の本件各係争年分の事業所得の金額を推計して本件各処分をした。

(十三) 原告は、平成六年四月二六日、本件各処分について異議申立てをした。

(十四) 被告の係官は、平成六年五月ころから同年六月ころまでの間、合計三回にわたって原告宅に赴き、原告及び千鶴子に対し、異議申立てに関する調査のため帳簿等の書類を提示するよう求めたところ、原告らは、本件各係争年分に係る収支計算書、請求書控、領収書、給与支払明細書などの書類を提示した。そして提示されたこれらの書類を検討したところ、〈1〉日々継続的に取引を記録した帳簿の作成がないこと、〈2〉必要経費として支払った事実を裏付ける領収書が一部しか存在しないこと、〈3〉必要経費に事業との関連が明らかでないものが計上されていること、〈4〉収支計算書の売上金額と請求書の合計額が一致しないことなどの事実が判明した。

(十五) 被告は、推計によって原告の事業所得の金額を算定することとしたが、推計によって算定した所得金額が原処分(本件各更正)における所得金額を下回ったので、平成六年七月七日付けで、本件各処分の一部を取消す旨の決定をした。

(十六) 原告は、平成六年八月五日、国税不服審判所長に対して、審査請求を行ったが、同所長は、平成七年三月一六日付けで右審査請求を棄却した。

2  本件調査手続の適法性について

所得税法二三四条による税務調査において、質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限のある税務職員の合理的裁量に委ねられると解される。

これを前提に本件調査手続の適否を検討する。

(一) 税務調査日時の事前通知について

原告は、本件各処分までの被告の係官が、事前通知をしなかったことをもって、本件調査手続が違法であると主張する。

しかし、権限のある税務署職員が税務調査を行うに際し、被調査者に対して税務調査をする日時・場所を事前に通知することは法律上要求されていないのであるから、本件において、これがなされていないとしても、本件調査手続が直ちに違法となるものではないというべきである。そして、前記1認定の各事実によれば、被告の係官は、合計九回原告宅を訪れており、そのうち三回(平成五年五月一一日、同年八月九日、同年九月一四日)については原告は係官が調査のため臨場することを事前に了知しており、また被告の係官は、原告が不在であった場合には、千鶴子に対し、税務署に連絡するよう原告への伝言を依頼したり(平成五年六月三〇日、同年七月二六日)、税務署まで連絡するように依頼した文書を差し置いてきたり(平成五年七月二九日)していることなど原告の都合に等にも配慮した調査の実施を心掛けて努力しているのであって、実質的には事前通知を欠いたのは初回の平成五年四月二一日とその後二、三回程度にとどまり、これにより原告に重大な不利益が生じたとする事情も認められないことを併せ考慮すれば、このような手段、方法による本件調査手続が社会通念上妥当性を欠くとは到底いえない。

したがって、原告の右主張は理由がない。

(二) 第三者の立会い拒否等について

原告は、本件各処分までの被告の係官が、調査に当たり第三者の立会いを認めず、また、第三者の立会いを理由に原告が提出した資料を精査しなかったとし、本件調査手続が違法であると主張する。

しかし、調査担当の税務職員において、第三者立会いのまま被調査者の取引先等についての質問をすれば、税務職員に課せられた守秘義務(国家公務員法一〇〇条一項、所得税法二四三条)に違反するおそれがあること、税理士資格のない第三者の立会いは、その具体的態様いかんによっては税理士法違反の余地があることを考慮すれば、前記1認定のとおり、本件調査の際、被告の係官が民主商工会の会員等、原告から依頼を受けた税理士でない第三者の退席を求め、これが応じられない場合に守秘義務に抵触すると判断して、調査を打ち切ったことは、税務職員の合理的な裁量内の措置であり、社会通念上妥当性を欠くとはいえない。

したがって、原告の右各主張は理由がない。

(三) 理由附記等について

原告は、本件各更正の通知書に理由が付記されていなかったこと、異議審査の際に被告の係官が更正の理由を説明しなかったことをもって、本件各処分が違法である旨主張するようである。

しかし、所得税法上、白色申告者に対する更正通知書については、理由の附記は要求されていないから(所得税法一五五条二項、国税通則法二八条二項参照)、白色申告者に対する更正通知書には理由の附記は必要ではないと解するのが相当であり、また、原処分と異議決定とは別個の処分であり、異議審査の手続の違法、不当を理由として原処分の取消しを求めることはできないと解されるから、結局、原告の右各主張は理由がない。

(四) 以上によれば、本件調査手続には何ら違法な点はなく、適法である。

二  争点2(推計課税の必要性について)

前記一1認定の各事実によれば、原告は、被告の係官が合計九回にわたって原告宅に臨場し、その都度、原告あるいは千鶴子に調査に協力するよう要請したにもかかわらず、原告は、第三者の立会いを認めなければ調査には応じられない旨発言したり、千鶴子を介して調査日時を何度も延期したりするなど調査に非協力的な態度に終始しているのであり、そうすると、被告が原告の所得金額を把握することができないと判断して、原告の事業所得を推計の方法で算定したことは、課税の必要上やむを得なかったといえる。

したがって、本件においては、推計課税の必要性を認めることができる。

三  争点3(推計課税の合理性)について

被告は、本件訴訟において、原告の業種を建設業(鉄骨工事業)であるとして、反面調査により把握した原告の売上(収入)金額(別表3参照)に本件類似同業者の所得率の平均値を適用して、本件各係争年分の事業所得を推計しているので、以下右推計課税の合理性の有無を判断する。

1  推計方法の合理性

(一) 原告の業態等

証拠(乙三三、証人遠藤雅明、原告)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、自宅を事業所として地元で主に建設業のうち原材料を元請先が負担する形態の労務請負方式による鉄骨の手直し・組立業を営んでおり、他の事業は兼業していないこと、原告は、冬期には出稼ぎに行くことがあるが右のような鉄骨手直し業等を行うこともあること、北海道においては冬期は鉄骨手直し業等の仕事が全体的に減少することが認められる。

(二) 抽出過程及び抽出基準について

証拠(乙八ないし三二)によれば、以下の事実が認められる。

札幌国税局長は、平成八年一月九日、抽出対象署の各税務署長に対し、通達をもって、前記第二(事案の概要)四3(一)(2)記載の本件抽出基準に従い類似同業者を抽出するよう命じた。右各税務署長が右基準に該当する者を検索した結果、滝川、札幌南、札幌北の各税務署長は、各税務署管内の納税者から、右基準に該当する者を滝川の場合は二名、その余の場合はそれぞれ一名ずつ抽出し、それぞれ課税事績報告書を作成し、これを右局長にそれぞれ提出した。

(三) 右(一)、(二)認定の事実によれば、本件抽出基準において、対象者を一般的にその申告に係る数値が信頼できる青色申告者に限ったこと、抽出対象署を滝川税務署及びその近隣署にしたこと、年間を通じて継続して事業をしている者に限ったこと、鉄骨工事業と異なる業種目を兼業していない者に限ったこと、災害等により経営状態が異常である者を避けたこと及び国税通則法の規定に基づく不服申立てがなされ、現在その審理ないしは訴訟が係属している者を避けたことは合理的であるし、対象者を建設業のうち、原材料費を自ら支払わない形態の鉄骨工事業にし、業態的類似性を考慮したこと及び収入金額についていわゆる倍半基準を設定し、事業の規模の面での類似性を考慮したことも合理的であるといえる。

したがって、本件抽出基準は、業種の同一性、場所的近接性、業態及び事業規模の類似性等を確保する基準として合理的であり、そして、抽出基準の設定及び抽出過程に被告または札幌国税局長の恣意が介在した余地は本件全証拠によっても認められない。また、本件類似同業者は青色申告者であり、本件各係争年分において経営状態が異常である者や更正処分等がなされ不服申立て等をしている者が除外されていることからするとその申告数値は信頼性が高いうえ、抽出した本件類似同業者も四名であり、各類似同業者の個別性を平均化するに足りるものといえる。

以上からすれば、本件類似同業者の所得率の平均値を基礎に算出する方法による所得金額の推計は、特段の事情がない限り合理性があるといえ、本件においては右特段の事情を認めるに足りる主張立証はない。

(四) 推計方法の合理性に対する原告の反論について

(1) 原告は、本件類似同業者の実名が明らかでなく、その営業形態等が不明である等の理由から、原告の反論の機会を奪い不当である旨主張する。

しかし、被告が右のような事項について明らかにしないことは、国家公務員法一〇〇条一項、所得税法二四三条所定の守秘義務に基づくものであるところ、被告における本件類似同業者の抽出過程が正確であったことは前記(三)のとおりであり、また、原告は自己の事業の特殊性などを主張、立証することによって、推計の合理性を争うことができるのであるから、被告が本件類似同業者の実名を明らかにしないこと等をもって、原告の反論の機会を奪うものとはいえないのであり、原告の右主張は理由がない。

(2) 原告は、原告が白色申告者であるのに、推計に青色申告をしている同業者を用いていることをもって、本件抽出基準は不合理である旨主張する。

しかし、類似同業者を青色申告者に限ることにより、申告数値の信頼性が高くなることは前記(三)のとおりであり、抽出基準として合理的であるから、原告の右主張は理由がない。

(3) 原告は、本件抽出基準は、原告の事業の個別的、具体的事情が考慮されていないとし、その根拠として、原告は土木工事も兼業しているし、また冬期間は仕事がなくなることを掲げ、不合理である旨主張する。

しかし、前者の理由については証拠がなく、後者の理由については前記三1(一)で認定したとおり、冬期間常に鉄骨工事業の仕事がなくなるわけではないうえ、北海道においては鉄骨工事業の仕事が冬期間減少することは原告に限らず一般的傾向であって、この点は抽出業者にも該当するといえるから、いずれにせよ失当である。

更に類似同業者による推計の方法が、平均値による推計の場合には、推計課税がその性質上客観的実体との合致を求めるものでないことはいうまでもないところ、過度に厳格な類似性を要求することは、却って類似同業者が極めて少数になり、個別事情の平均化に支障を来すか、類似同業者の抽出を困難にし、推計による課税を不可能ならしめるおそれがあるともいえるから、業種、事業所の所在地、業態及び事業規模等の基本的要素において類似同業者の抽出基準が合理的であれば、類似同業者間に通常存在する程度の営業条件の差異は捨象されるというべきであり、営業条件等の差異が平均値による推計自体を全く不合理ならしめる程度に顕著なものでない限り、推計の合理性は維持されると解される。

そして、本件抽出基準が原告との類似性を担保するに十分なものであり、合理性を有するものであることは前記(三)のとおりであり、原告は、本件推計自体を不合理ならしめるような個別事情を右に述べた事情以外何ら具体的に主張、立証していないのであり、本件全証拠によっても、本件推計自体を不合理ならしめるような原告の営業条件等の個別事情を認めることはできないから、原告の右主張は採用しない。

(4) 原告は、平成二年分の本件推計において、内縁の妻である千鶴子につき配偶者控除及び配偶者特別控除が認められていないのは不合理である旨主張する。

しかしながら、所得税の算出に当たり、配偶者控除及び配偶者特別控除の根拠規定となるものは所得税法八三条及び八三条の二であるところ、それらの規定中には「配偶者」の中に内縁の配偶者を含む旨の文言はなく、またこれを含む趣旨が明らかであるとはいえないし、更に各種の用語の意義を定めた同法二条にも内縁の者を含む旨を定めた規定はない。その他の法律をみても、「配偶者」とは、戸籍法の定めるところにより市区長村長等に届出をした夫又は妻(民法七三九条一項)を指し、いわゆる内縁の配偶者を含めて規定する場合「配偶者」(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)(国税徴収法七五条一項一号)等の表現を用いた規定の仕方をしていることが明らかであるから(同旨の規定として、健康保険法一条二項一号、国民年金法五条四項、厚生年金保険法三条二項等)、所得税法においても「配偶者」には内縁の配偶者は含まれないと解するのが相当である。

したがって、仮に千鶴子が基準日(同法八五条三項)である平成二年一二月三一日時点において、原告の内縁の配偶者と認められる状態にあったとしても、平成二年の所得控除において、千鶴子を同法の配偶者控除及び配偶者特別控除の対象者として、配偶者控除及び配偶者特別控除を適用することはできない。

したがって、平成二年分の本件推計において配偶者控除及び配偶者特別控除について考慮しなかった被告の推計方法に不合理な点はないから、原告の右主張は採用できない。

(五) 以上のように、推計方法の合理性に対する原告の反論はいずれも理由がなく、被告の右推計方法は合理性がある。

2  推計による本件各係争年分の総所得金額等について

本件各係争年分の原告の収入については、平成二年分が一〇九一万一九四二円、平成三年分が二一九六万八一四四円であることは当事者間に争いがないから、これらを基礎に右1で検討した被告主張の推計方法により算出した原告の本件各係争年分の事業所得金額は、前記第二(事案の概要)四3(二)(3)のとおり、平成二年分が四〇五万八一五一円、平成三年分が八七八万五〇六〇円となり、(別表2〈3〉)、結局原告の本件各係争年分の総所得金額は、前記第二(事案の概要)四3(二)(4)のとおり、平成二年分が四〇五万八一五一円、平成三年分が九三三万八一八六円となる(別表2〈5〉)。

そうすると、原告の本件各係争年分の総所得金額は、本件各更正(ただし、異議決定による変更後のもの)に係る総所得金額(平成二年分四〇〇万五七七三円、平成三年分七四八万六二七二円)を上回るものとなるから、原告の本件各係争年分の納付すべき税額も本件各更正(ただし、異議決定により一部取消後のもの)に係る金額を上回るものとなる。また、右更正による増加納税額に基づいて関係法令を適用して算出した過少申告加算税は、前記第二(事案の概要)四3(四)のとおり、平成二年分が三万九〇〇〇円、平成三年分が六万三五〇〇円となる。

四  争点4(実額反証の成否)について

推計課税取消訴訟における実額反証については、所得税法の規定に照らして、その主張する収入及び経費の各金額が存在すること、その収入金額がすべての取引先からの収入金額(総収入金額)であること、その経費がその収入と対応するもの(直接費用は売上との個別的対応、間接費用は期間対応)であることを主張、立証する必要があるというべきである。そして、その立証方法としては、会計原則等に照らし、正規の簿記原則に従って作成された会計帳簿等それに準ずる帳簿書類による立証が必要であり、また、立証の程度としては、申告納税制度における適正公平な課税の実現の要請及び立証の容易性等に照らし、納税者である原告に真実の所得額に合致することを通常人が疑いを差し挟まない程度まで立証する責任があるというべきである。

しかしながら、原告が本件各係争年分の事業所得を証する書証として甲号証で提出するのは、出勤簿、賃金台帳、出金伝票、領収書、レシート等の原始記録であり、正規の簿記原則に従って作成された会計帳簿又はこれに準ずる帳簿書類を一切提出していないうえ、原告はこれら帳簿を作成していない旨供述しているのであるから、本件において、原告の所得金額を正確に把握することはそもそも困難であるといわざるを得ない。

そして、原告の提出した右原始記録は、平成二年分については、原告自身も領収書等の大半を紛失している旨供述しているとおり、原告の支出の全てを証するものではないうえ、原告が提出した右原始記録のうち、給料賃金に関する出勤簿及び賃金台帳は、これらのみでは支出の事実が検証できず、収入との個別対応関係も明らかにされておらず、また、給料賃金以外の必要経費に関する書証は、出金伝票のみで領収書等がないものがあったり、レシート・「上様」宛領収書等支払者が不明であったり、他人名義の領収書等のものがあったりして支出の事実が確認できないもの、領収書等のみで納品書、請求書等がないなど事業との関連性が明らかでないもの、家事費又は家事関連費と思われるもの等が数多く含まれているのであるから、原告主張の実額を証するには不十分なものといわざるを得ない。そして、その他本件全証拠を子細に検討しても、原告主張の実額が真実の所得金額であると通常人が疑いを差し挟まない程度にまで立証されているとは到底いうことができない。

したがって、原告の実額反証の主張は失当であることが明らかである。

五  本件各処分の適法性

これまで述べてきたとおり、被告の本件調査手続には何ら違法な点はなく、被告主張の推計には必要性と合理性があり、原告による実額反証は失当であって、推計による原告の本件各係争年分の総所得金額及び納税額は、本件各更正による総所得金額(ただし、異議決定による変更後のもの)及び納税額(ただし、異議決定による一部取消後のもの)をそれぞれ上回る金額であるから、これらはいずれも適法であり、したがって、本件各更正(ただし、異議決定による一部取消後のもの)による増加納税額に基づいて過少申告加算税を算出した本件各賦課決定(ただし、平成三年分については、異議決定による一部取消後のもの)も適法である。

六  結論

よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 一宮和夫 裁判官 堀内明 裁判官 小原一人)

別表1

課税処分の経過

平成3年3月13日 平成2年分確定申告

平成4年3月13日 平成3年分確定申告

平成6年2月28日 上記各年分更正処分

平成6年4月26日 異議申立(確定申告額のとおり)

平成6年7月7日 異議決定(一部取消)

平成6年8月5日 審査請求(平成3年分は、確定申告額のとおり、平成2年分は、配偶者控除、配偶者特別控除を除き確定申告額のとおり)

平成7年3月16日 審査裁決(棄却)

〈省略〉

別表2

総所得金額の計算

〈省略〉

別表3

売上(収入)金額明細表

〈省略〉

別表4

同業者比率表

〈省略〉

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